2015年6月22日月曜日

ゼロからの出発

主人と私の共通点の1つは、子供の頃から自立心が強かったということ。
主人の家族は、経済的に不自由していたわけではないが、親から自立したくて、15のときに、革製品を手作りで作る職人のところで手伝いを始め、ちょっとしたお金を稼いでいた。
その後、今のコンメルチャリスタという、日本でいうと公認会計士の資格を取り、会計事務所をミラノの一等地で開き、成功していた。
また、主人の仕事に対する情熱は、会社、店舗経営という形で、今までにいろんな経験をしてきた。会計士の仕事の傍ら、チェーンスーパーの経営や、バールやレストラン、そしてここ最近では、ミラノの中心地で、パン屋や美容院を経営。
彼の祖父は、ウンブリア地方でパン屋を営んでいたからか、パン屋や飲食店経営には、いつも興味を持っている。そして、今までそれなりに成功してきたから、過去の経験からの自信、プライドもある。
そして、いつも友人や家族が困っていたら、お金の援助をしてあげてきた。

マテオが亡くなって、状況はすべて変わった。

当時、モンツァに比較的大きな会社を経営していて、たくさんの従業員を抱えていた。
マテオが亡くなってからは、生きる気力、働く気力もなくなり、トップとしての権限をすべて、ビジネスパートナーに任せ。そこから、会社は転落への道へと。

しかし、それでめげるわけでもなく、その後、パン屋を経営したり、小さな会社を経営して成功し始めていた矢先、去年の入院。主人なしでは、仕事、会社が廻らず、私ももっと入院中に、しっかりパン屋や会社を守っていければよかったのですが、色々な人間関係、様々な問題があり、守れず。これに関しては、今更遅いけど、後悔。

仕事をすべて失った。

去年入院中、主人の意識が回復したときに、自宅にある主人のすべてのロレックスの時計を売り払い。お金は、出て行くばかりで、最近では、義父に送金してもらったり、時々、義弟にスーパーに連れて行ってもらい、すべて支払ってくれている。

私以上に、プライドが高く、そして、今までずっと成功してきた彼だから、この今の状態は、本当に情けなく感じているのが、ひしひしと伝わってくる。昨日も、義父から電話で、来月送金してくれると。

彼は、身体障害者認定を受け、100%労働ができない人という位置づけでいる。でも、今までずっと働き続けていた彼が、じっとしているわけはなく、日々落ち込みながらも、色々と考えを巡らしながら、模索している。今でもたくさんの健康問題を抱えながらも、今年に入り、ミラノの知り合いのところに働きに出ているが、本来、本人がやりたい仕事ではなく、またこの不景気で、定期的にそれなりの収入を得られるわけでもなく、ほぼボランティア状態で、車のガソリン費ばかりがかかり、家計としてはマイナス。

しかし、絶望ばかりしていても仕方ないから、私も何か私に、今の状況でできることがないか、模索中。

ゼロからの出発。彼が少しでも元気でいれば、仕事がなくても、怖いものはない。あとは、仕事を探し、頑張って働くのみ。自分たちの幸せのために。私たちの穏やかな生活のために。

主人は、いつも、自分に貧乏はできないと、強く口にしているから、いずれ、この状況から抜け出せるはず。

健康さえ取り戻せば、そして、笑顔、愛情があれば、この状況も怖くない。
それに、これ以上、状況は悪くなることはないから。これ以上失うものもないから。


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